西行堂・西行庵・芭蕉堂
〜古都・スポット風景〜

門より西行堂を望む
門より西行堂を望む
門の中では別の世界が展開しているようです。
門を入った右手に「浄妙庵(じょうみょうあん)」、「皆如庵(かいにょあん)」があります。

円山公園にある池の前を南へまっすぐに歩いて行くと(下記の【近隣観光マップ】をご参照ください。)、やがて道が左右に分かれた突きあたりに辿り着きます。右へ行けば、ねねの道へと行きます。一方左へ行く、と言うより左に目を向ければ、こじんまりとして簡素ながらも、昔ながらの日本の情緒感あふれる西行庵、西行堂、芭蕉堂がすぐそこにあります。

この別れ道では、ねねの道の方へと多くの人の足が自然と向いているようですが、その前にちょっと立ち寄ってみたいところでもあります。

西行堂

11世紀末、白河法皇の時、院御所の警固の為にその北面に詰めて仕える「北面の武士」という制度が設けられました。弓馬に優れ、眉目秀麗で、詩歌管弦に堪能であることが条件の一つとされていたとも言います。

白河法皇の二代後の鳥羽上皇の下で北面の武士として仕えていた佐藤義清(さとうのりきよ)は、この頃から院の中でも歌人としてその存在を知られていました。しかし保延(ほうえん)6年(1140)、突然にも出家してしまいます。23歳。僧名は円位で、号は西行。

西行は自然を友として諸国を旅したことで知られていますが、出家して直ちに塵界を去り、人も滅多に入らない山野にいきなり隠遁を求めたりしたのではなく、依然として京の周辺にあったといいます。具体的にいつどこに、といったことは明確ではありませんが、西行は京の都の近くの寺院に立ち寄っては、修行生活をしていたとみられています。たとえば東山では現在の円山公園の近くにある長楽寺、雙(そう)林寺や、洛西の嵯峨にある法輪寺といったところに踏みとどまっていたようです。

そのような中、西行は雙林寺塔頭である「蔡華園院(さいかおういん)」に住み始めました。西行堂のもとは、安土・桃山時代の天正(てんしょう)年間(1573〜1592)に「蔡華園院」の跡地に建立されていたといいますが、江戸時代中期の享保(きょうほう)21年(1736)、摂津池田李孟寺(りもうじ)の天津禅師により、この地に移築されて再興されたものと伝わっています。

西行堂
西行堂
秋が次第に深まりゆく中、門の中に足を踏み入れると、一段と「あはれなるさま」が目の前に広がってきます。

西行庵

母屋「浄妙庵」
母屋「浄妙庵」

西行庵は、明治26年(1892)、富岡鉄斎が勧進文(寄付を呼びかける文)を書き、宮田小文法師(こぶんほうし)が浄財を募って、西行堂の隣接地に母屋「浄妙庵」、茶室「皆如庵」から成るものとして建てられたものです。

茅葺(かやぶ)きの母屋は大徳寺塔頭真珠庵の別院を移したものといいます。

一方、茶室・皆如庵は北野の久我(こが)別邸より移された桃山時代の名席で、円窓床(えんそうどこ)と道安囲(どうあんがこい)の点前座(てまえざ)が有名です。

茶室「皆如庵」
茶室「皆如庵」

芭蕉堂

芭蕉堂
芭蕉堂
門を出てすぐ右手が西行堂・西行庵です。左へ行くと、ねねの道です。

鎌倉時代の初め、京の都に隣接する東山には寺院が多かったといいます。西行が、その中の一つの阿弥陀房という上人が営む庵(いおり)生活を見て、しみじみと心をうたれ詠んだのが、

いにしへ頃、東山に阿弥陀房と申しける上人の庵室にまかりて見けるに、何となくあはれにおぼえて詠める

柴の庵(いほ)と聞くは悔(くや)しき名なれども

世に好(この)もしき住居(すまゐ)なりけり

(『山家集』中・雑)

(ずっと以前、東山に阿弥陀房とおっしゃる上人がおられて、その庵室をたずねてみたところ、なんとなくしみじみとした情緒が感じられて詠んだ歌。
「住まいは柴の庵と聞いていたので、大したことはないだろうと思っていたけど、実際に行ってみると実に感じの良い住いで、柴の庵との名が口惜しく感じられた。」)

です。

西行を心の師としていた芭蕉も、西行を慕って旅の生涯を送りましたが、この東山の地で、先の西行の歌を踏まえて、

しばの戸の月やそのままあみだ坊

(「芭蕉庵小文庫」)

(あなたの住んでいる柴の庵は、西行上人が歌った時と同じくしみじみとした風情が漂っていますね。 だからあなたはさしずめ阿弥陀坊ですね。)

の一句を詠み、草庵に棲んでいる人にこの句を贈ったといいます。

この芭蕉堂は、江戸時代中期、俳聖松尾芭蕉を偲ぶため、加賀の俳人・高桑闌更(たかくわらんこう)がこの句を生かして営んだものといいます。

堂内には、蕉門十哲の一人、森川許六(もりかわきょりく)が刻んだ芭蕉の木像が安置されています。

堂内
堂内
芭蕉の木像が安置されています。

【近隣観光マップ】※図の操作については下記をご参照ください。

【図中番号の説明】

図中の右上に表示されている「地図」をクリックして、その下に表示される「航空写真」をクリックし、図を拡大表示する(下記「マップの操作について」参照)とよりはっきりと見ることができます。
  1. 円山公園
  2. 浄妙庵
  3. 皆如庵
  4. 西行堂
  5. 芭蕉堂
  6. ねねの道
  7. 高台寺
  8. 圓徳院
  9. 石塀小路

図の操作について

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近隣の観光スポット情報

上記の【近隣観光マップ】をご参照ください。

posted by はんなり・ジャーニー at 10:59 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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