貴船神社

貴船神社南参道石段に並ぶ春日灯籠
貴船神社南参道石段に並ぶ春日灯籠
石段を登りきった所に見えるのは南門。石段には楓(かえで)の葉が覆いかぶさるようにせり出しています。
夕刻になって灯籠に明かりがともされるときや、新緑・紅葉の季節は風情が一段と漂います。

深山幽谷の風情がある貴船(きぶね)渓谷。その渓谷の中を清冽な水が北から南へと流れる貴船(きぶね)川の流れに沿うように、貴船神社(きふねじんじゃ)があります。南から北に向かって本社、結社(ゆいのやしろ)(中宮(なかみや))、奥宮(おくみや)と並んでいます。本社から北へ10分程歩けば左手の山側に結社(中宮)が見えてきます。さらに北へ5分程で、創建当初の鎮座地と伝わる奥宮へ至ります。

古くからの慣わしと伝わる三社詣では、まず本社から奥宮へ参詣し、そこから結社(中宮)へと引き返して向かいます。

社号は、古くは「貴布禰」「木船」「黄船」「気生嶺(根)」などと表記されていたといいますが、明治4年(1871)に社格制度が改正されたことに伴い、「貴船(きふね)」と定められました。「貴船」は通常「きぶね」と読みますが、神社名は「きふねじんじゃ」と呼ばれます。

起源

貴船神社一の鳥居
貴船神社一の鳥居
ここは、府道38号に沿って右へ行くと約1kmで鞍馬へ、左に折れて府道361号に沿って行くと約2kmで貴船へ到着する分岐点となっています。写真中央右側に見える朱色の橋は貴船へ向かうための梶取橋(かじとりはし)です。この橋を渡るとすぐに叡山電鉄の貴船口駅があります。また、一の鳥居の下に見える縦長の赤い表示板は京都バスの貴船口バス停を案内しています。
ここから貴船神社の本社まで徒歩で約30分の道のりですが、道の傍らを流れる貴船川の水に触れながら、貴船川の両岸に広がる鞍馬山国有林と貴船山国有林の鬱蒼と生い茂った木々に囲まれた道を森林浴を兼ねてゆっくり行くのも楽しみ方の一つかも知れません。ちなみにここは京都市内です。

社伝によれば、今から1600年ほど昔の反正(はんぜい)天皇の御世、大阪の浪速(なにわ)の津に黄船(きぶね)に乗った神が現れ、

「我は玉依姫(たまよりひめ)なり、この船の止まる所に祠(ほこら)を造れば国土を潤し、庶民に福運を与えん」

と言って、淀川、鴨川を経て、更に賀茂川をさかのぼり、貴船川と鞍馬川への分岐点までくると一度舳先(へさき)を鞍馬の方に向けましたが、船の梶(舵(かじ))を大きくきって貴船川の方へと取りなおし、その上流へと漕ぎ上ったといいます。そして貴船川に沿う奥宮の地に上陸し、祠(ほこら)を営んだのが貴船神社の始まりとされています。

奥宮の本殿の傍らには大きな船形石(ふながたいわ)があり、その名の通り石が船の形に積み上げられています。これは玉依姫命の舟を覆(おお)ったものと伝えられていて、この小石を携帯すれば、航海安全に霊験があるとされています。

その後、永承元年(1046)の出水で奥宮の社殿が流されてしまったため、天喜(てんぎ)3年(1055)、本社を現在の地に遷し、元の鎮座地は奥宮とされ、今日に至っています。

貴船神社奥宮
貴船神社奥宮
貴船の奥の地に、周囲を木々に囲まれ静かにたたずむ本殿(手前)と拝殿。

祭神の誕生秘話

御神水
御神水
貴船山には、かつて貴船の神が降臨したという磐座(いわくら)が祀ってあり、この山から流れ出る清水は、本社拝殿前の石垣の所に湧きだしています(写真中央下)。これまで一度も枯れたことがないと伝えられています。水質は弱アルカリ性で、3年間汲みおいても腐らないといいます。

貴船神社は、本社には高龗神(たかおかみのかみ)、奥宮には闇龗神(くらおかみのかみ)が祀られています。ただ社伝によれば、両神は同一神であるといいます。

伊弉冉尊(いざなみのみこと)が火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産み落としたとき、火之迦具土神の激しい火炎によって伊弉冉尊は命を落としてしまいました。このことを知った夫の伊弉諾尊(いざなぎのみこと)は激怒し、火之迦具土神を剣(つるぎ)で3段に斬り裂いたといいます。その1段から産まれたのが高龗神と伝えられています。そしてその時、剣(つるぎ)の柄(つか)に溜まった血が、指の間から漏れ出て産まれたのが闇龗神である、といい伝えています。

「龗(おかみ)」は、雨や雪などの水を司る龍神を意味し、「闇」は峡谷のことを指します。つまり、闇龗神は、谷の水を司る龍神といえます。そのため、この神は雨乞い祈願の対象となっているのです。

高龗神は、闇龗神と同一神とも、また対(つい)の神とも考えられている神で、その名の通り、山の頂にいて水を支配する水の神とされます。

延暦13年(794)の平安京遷都後、貴船川は賀茂川の水源地のひとつにあたることから、貴船神社のこの祭神は治水の神として朝廷から崇(あが)められ、日照りや長雨が続いた時には、雨乞い・雨止め神事がたびたび行われたといいます。

結社(中宮)への上り口
結社(中宮)への上り口
結社(中宮)は、平安時代の女流歌人、和泉式部が夫との復縁を祈願する為に参詣したことで知られています。

一方、結社(中宮)には磐長姫命(いわながひめのみこと)が祀られています。

本社の上流およそ300mの山側に位置し、本社と奥宮の間にあるので、中宮と呼ばれます。

中宮は貴船神社の境外末社(まっしゃ)の一つです。

この磐長姫命は、天孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に嫁いだ木花開耶姫(このはなさくやひめ)の姉神で、妹とともに天孫の妻となるはずでした。ところが、妹に比べて容貌が劣っていたことから、親元に送り返されてしまうという憂き目にあいました。

そこで磐長姫命は、この貴船の地に永く住みついて、縁結びの神として、世のため人のために良縁をもたらそうと心に固く誓って、この地に鎮まったといいます。

中宮は、祭神の磐長姫命が、縁結びの神としてすでに平安時代から信仰を集めていたことから、結社とも呼ばれました。平安時代の女流歌人、和泉式部が夫との復縁を祈願し、願いが叶えられたことから、縁結びの神としてより一層の信仰を集めることとなりました。

叡山電鉄貴船口駅から100mほど北にある蛍岩から奥宮までの道は、「和泉式部恋の道」と名付けられています。(貴船参照)

写真集写真集(25枚の写真が表示されます。)
写真 
梶取社(かじとりしゃ)
祭神は宇賀魂命(うがのみたまのみこと)。
玉依姫命が水源の地を求め黄船(きぶね)に乗って、淀川、鴨川を経て、更に賀茂川をさかのぼり、鞍馬・貴船への分岐点となるこの地点で、梶を大きくきって貴船(きぶね)に向かったといいます。その時に梶を巧みに操られた神様がここに祀られていると伝えられています。一の鳥居のすぐ横に鎮座。
梶取社の後ろ(写真奥)には、鞍馬川と貴船川が合流直後に鞍馬川として流れています。写真右手には梶取橋(かじとりはし)と呼ばれる橋が架かっていて、その橋を渡ると叡山電鉄の貴船口(きぶねぐち)駅があります。
≪関連情報≫
項目 内容
所在地 京都市左京区鞍馬貴船町180
祭神 高龗神
創建年 不詳
主な祭事 若水神事・歳旦祭(1月1日)
雨乞祭(3月9日)
貴船祭(6月1日)
貴船の水まつり・七夕祭(7月7日)他

【近隣マップ】※図の操作については下記をご参照ください。

【マップ掲載番号の説明】

図中の右上に表示されている「地図」をクリックして、その下に表示される「航空写真」をクリックし、図を拡大表示する(下記「マップの操作について」参照)とよりはっきりと見ることができます。
  1. 貴船川
  2. 鞍馬川
  3. 府道361号
  4. 一の鳥居
  5. 梶取社
  6. 梶取橋
  7. 蛍岩
  8. 鞍馬寺西門
  9. 二の鳥居
  10. 樹齢600年の欅(けやき)
  11. 樹齢700年の杉
  12. 南参道
  13. 南門
  14. 龍船閣
  15. 絵馬掛所
  16. 神馬像
  17. 手水舎(ちょうずや)
  18. 神木・桂
  19. 石庭
  20. 水占齋庭(みずうらゆにわ)
  21. 御神水
  22. 本社拝殿
  23. 本社本殿
  24. 権殿
  25. 北門
  26. 北参道
  27. 鈴鹿谷
  28. 三の鳥居
  29. 結社(中宮)
  30. 天の磐船(あめのいわふね)
  31. 和泉式部歌碑
  32. 相生(あいおい)の杉
  33. 古事の森
  34. 思ひ川
  35. つつみヶ岩
  36. 杉並木参道
  37. 連理の杉
  38. 船形石(ふながたいわ)
  39. 奥宮拝殿
  40. 奥宮本殿
  41. 「鉄輪(かなわ)伝説」解説板

図の操作について

  • 図の上でマウスを任意の方向に動かす(ドラッグする)と表示範囲が変わります。
  • 図の左にある+(プラス)ボタンをクリックする毎に図が拡大され、−(マイナス)ボタンをクリックする毎に図が縮小されます。
  • 図の右上にある[地図]のボタンをクリックすると地図タイプを切り替えることができます。
  • 非表示にした吹き出しを再度表示するには、赤いアイコンをクリックして下さい。
  • 最初の状態に戻すには、キーボードのF5キーを押下してください。

近隣の観光スポット情報

上記【近隣マップ】をご参照ください。

posted by はんなり・ジャーニー at 17:51 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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