
広沢池
大覚寺(だいかくじ)門前交差点から京都府道29号に沿って西へおよそ900mほど行くと、北嵯峨ののどかな田園風景の中に大きな池が見えてきます。この池は、大覚寺の大沢池(おおさわのいけ)とともに、古より観月の名所として知られ、多くの歌人によってたくさんの歌が詠まれた広沢池(ひろさわのいけ) です。
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遍照寺の月を見て
古の人はみぎはに かげ絶えて
月のみ澄める 廣澤の池
(『校註国歌大系 第十四巻 近古諸家集 全』)
(古より広沢池に昇る月を見て、畔では多くの人がその風情を味わい楽しんできたけれども、今ではそのような昔の人の影はなく、ただ月ばかりが水面に澄んで映っている。)
この歌は、平安時代末期の武将・公卿で和歌にも長じていた、源三位頼政(げんさんみよりまさ)(源頼政(みなもとのよりまさ))が詠んだものです。頼政は、後に後白河法皇の皇子の以仁王(もちひとおう)の「平氏を討て」との令旨(りょうじ)を受け挙兵しましたが、敗れ、宇治平等院で自刃して果てた人です(平等院写真集「扇の芝」参照)。
一方、遍照寺は、平安時代中期の永祚(えいそ)元年(989)、宇多天皇の孫で、仁和寺・西寺・東大寺の別当、東寺一の長者などを歴任し、寛和(かんな)2年(986)には真言宗では初めて、また、日本では三番目の大僧正にすすんだ寛朝大僧正(かんちょうだいそうじょう)が、広沢池の北側に位置する遍照寺山(へんしょうじやま)(朝原山)の麓に、広沢池に面するような形で創建したものと伝わります。
広沢池のほとりに釣殿(つりどの)、月見堂、観音堂などを設け、周りの美しい風景を前にした大きな寺であったといわれていますが、早い時期に荒廃したといいます。そして時代が下った明治時代に、地元の人々の協力で修復され、現在は、広沢池の南、約300メートルの所にあります。その堂内には、創建当時の遺像といわれる十一面観音立像(重要文化財)と不動明王坐像(重要文化財)が安置されています。

のどかな田園風景
写真左手が、大覚寺、嵯峨野路、嵐山方面になります。
広沢池は、遍照寺の建立に併せて庭池として本堂の南に造営されたものと伝えられていますが、一方では、それよりも早い時期に、嵯峨野一帯を開墾した秦氏(はたうじ)一族によって、この付近一帯の用水池として掘られたものともいわれています。
池の周囲はおよそ1.3kmで、池の西側には池の中へ突き出るような細長い形の観音島と呼ばれる小さな島があります。この島には橋が架けられていて渡ることができますので、島からの景色を楽しむこともできます。また、島には石像の千手観音が祀られ、弁天堂も建ててあります。
奈良県奈良市の猿沢池、大分県宇佐市の初沢池とともに日本三沢の一つに数えられ、農林水産省のため池百選にも選定されています。
広沢池は、連なる山々を背景とした田園風景が広がるのどかな自然の中で、春には桜、夏には青葉、秋には紅葉、冬には雪景色、と四季折々の美しさを見せてくれるところです。
ところで、広沢池の西側のヘリを沿うように通っている小道を挟んで、京都府道29号沿いとの角には、創立年月不詳とされる古びた社(やしろ)、児(ちご)神社があります。
寛朝大僧正は長徳(ちょうとく)4年(998)6月12日に息を引き取りました。するとその時、遍照寺山腹の老松から龍が静かに昇天してゆくのが見えたといいます。寛朝大僧正のそばに仕えていた児(ちご)は、これを見て、嘆き悲しんで泣きながら、後を追ったといいます。そして、山腹下に広がる広沢池に身を沈めたのでした。近くの村に住む人々は、この児(ちご)を哀れに思い、その霊を慰めんものとこの社を創建したと伝わっています。以来、児(ちご)神社と称されるようになったということです。
祭神は寛朝大僧正の侍児(じじ)です。
写真集(10枚の写真が表示されます。)
遍照寺は、広沢池に面して、正面に見える朝原山の麓にあったといいます。このことから。朝原山は遍照寺山とも呼ばれます。
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