水路閣
〜古都・スポット風景〜

水路閣
水路閣
完成時は美しい色をしていたであろう煉瓦も永い年月のうちにすっかり風化してくすんでしまったものの、逆に落ち着きあるものへと変わっています。

仁王門通の南禅寺前交差点をまっすぐ東へ進み、南禅寺の中門を入って、かの石川五右衛門の『絶景かな』で知られる三門を左に見ながら通り過ぎて更にまっすぐ奥へ向かい、法堂(仏殿)辺りのところから右手に見える木立の中に入っていくと、くすんだ赤煉瓦を積んだ巨大な城壁のようなものが見えてきます。

この建造物は、琵琶湖からひいてきた疏水の支流を東山山麓の北に流すための赤煉瓦造りの水路橋です。今では水路閣として知られるこの水路橋は、長さ93.17m、幅4.06mあり、上には幅2.42mの水路が通してあり、きれいな水が勢いよく流れています。水路橋の下部はアーチ構造をしており、全体として古代ローマ時代の水道を模したものだといいます。

水路閣下のアーチは通り抜けられるようになっていますので、くぐり抜けて右手へ上って行くと水路閣の上を流れる疏水を見ることができます。

産業の復興を願って

南禅寺中門
南禅寺中門
水路閣へはこの門をくぐってまっすぐ進みます。
中門をくぐると、やがて左手に三門が見えてきます。

慶応3年(1867)に孝明天皇の後を継いだ明治天皇が、翌慶応4年=明治元年(1868)7月、江戸を東京と改めると、同年10月には江戸城を皇居と定め、東京城と改称しました。そして、翌明治2年3月には東京城にとどまり、明治天皇の東京参集の召命により諸侯が相次ぎ上京したことから事実上の東京遷都となりました。このため、京都御所周辺にあった多くの公家屋敷は空き家となり荒廃していったといいます。

このことは、当時1000年以上もの長きにわたり都であり続けた京都の人々に大きな打撃を与え、東京や大阪への人口流出、ひいては産業の衰退も見られるようになり、都市としての活力が失われつつありました。

このような中、明治14年(1881)、第3代京都府知事に就任した北垣国道(きたがきくにみち)は、京都に近く水量豊かな琵琶湖に着目して京都の産業振興を図ろうとしました。即ち、琵琶湖から疏水を開削することにより、水運、水力発電、灌漑、防火などに利用して、京都の産業の復興を図ろうと考えたのでした。

こうして疏水事業が開始されました。疏水開削工事は明治18年(1885)に起工され、同23年(1890)に竣工しました(第1疏水)。

水路閣はその疏水開削工事の中で明治21年(1888)ごろ築造されたものです。

南禅寺の反対を押し切って・・・

南禅寺三門
南禅寺三門
三門は籐堂高虎(とうどうたかとら)の寄進で寛永5年(1628)に建立されました。
ちなみに、石川五右衛門がこの三門上にのぼって『絶景かな』と言ったということが広く知られていますが、三門が竣工したのは五右衛門死後(没年:文禄3年(1594))のことになります。
国指定重要文化財。

疏水事業の中で、南禅寺境内を通過する場所に水路橋(水路閣)が建設される事を知った南禅寺では当然反対を表明します。しかし、産業の復興をかけて、革新の意欲に燃える京都府は強力に推し進めようとします。今日に比べて公的権力の格段に強かった明治という時代にあって、南禅寺の抵抗は聞き入れられることはなく、ついには押し切られて、水路閣は建設されたのでした。

完成してからしばらくは、色鮮やかな煉瓦や継ぎ目の漆喰(しっくい)で、歴史を重ねてきた南禅寺境内の周囲の自然の景観とはまったく不釣り合いの、異様な雰囲気を醸し出したのでしょうが、その時から今日までに流れた百数十年の歳月は煉瓦も漆喰もすっかり風化させ、全体的にくすんだ落ち着きあるものに変えてしまいました。今日では水路閣は、周囲の木立の景観の中へすっかり溶け込んで調和がとれたものとなり、京都五山の上(ござんのじょう)とされた禅宗の名刹である南禅寺の風物のひとつになっており、四季に応じて、訪れた人々の目を楽しませてくれています。

平成8年(1996)6月には、この水路閣は、ここから西500mほどのところにある、わが国初めての試みであったインクライン(傾斜鉄道)とともに日本を代表する近代化遺産として国の史跡に指定されています。

写真集写真集(10枚の写真が表示されます。)
写真 
南禅寺参道
南禅寺三門横を過ぎて、この先へもう少し進みます。

【近隣観光マップ】※図の操作については下記をご参照ください。

【マップ掲載番号の説明】

マップ中の[地図]のボタンをクリックして、その下に表示される「航空写真」をクリックし、マップを拡大表示する(下記「マップの操作について」参照)とよりはっきりと見ることができます。
  1. 南禅寺前交差点
  2. 南禅寺中門
  3. 南禅寺勅使門
  4. 天授庵
  5. 南禅寺三門
  6. 南禅寺法堂(仏殿)
  7. 水路閣
  8. 南禅寺南禅院
  9. 鹿ケ谷通
  10. インクライン
  11. 禅林寺(永観堂)
  12. 平安神宮(※)
  13. 哲学の道(※)
  14. 青蓮院門跡(※)
  15. 知恩院(※)
※−(マイナスボタン)を1回クリックすると表示されます。

図の操作について

  • 図の上でマウスを任意の方向に動かす(ドラッグする)と表示範囲が変わります。
  • マップ中の+(プラス)ボタンをクリックする毎にマップが拡大され、−(マイナス)ボタンをクリックする毎にマップが縮小されます。
  • マップ中の[地図]のボタンをクリックすると地図タイプを切り替えることができます。
  • 非表示にした吹き出しを再度表示するには、赤いアイコンをクリックして下さい。
  • 最初の状態に戻すには、キーボードのF5キーを押下してください。

近隣の観光スポット情報

上記の【近隣観光マップ】をご参照ください。

posted by はんなり・ジャーニー at 23:10 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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