野宮神社

黒木の鳥居と小柴垣
黒木の鳥居と小柴垣
黒木の鳥居と小柴垣は、『源氏物語』「賢木(さかき)」の巻に登場します。(本文参照)
鳥居の奥に見えるのは、野宮大神(天照皇大神)を祀る本殿(左手)と愛宕大神(鎮火勝運)を祀る社(右手)です。

天龍寺総門(下記【近隣観光マップ】参照)から北へ200mほど行くと、左手(西)に抜けていく小路があります。ここから更に道に沿って300m近く歩くと、別れ道の所で藪影に埋もれるようにしずまっている野宮神社(ののみやじんじゃ)が見えてきます。

この野宮神社から西に150mほど歩くと、天龍寺の北門があり、この辺りから300mほど先までの間は深い竹林に覆われた、嵯峨野情緒漂う竹林の道が続いています。ここは、大堰川(桂川)に架かる渡月橋から天龍寺総門前の通りの賑やかさとは趣きががらりと変わって、静寂に包まれた風情あふれる世界となっています。

野宮神社は「嵯峨野めぐり起点」とされるだけあって、嵯峨野散策の中でも定番の人気スポットで、それだけに人の波が絶えることがありません。

野宮(ののみや)

神石「亀石」
神石「亀石」
写真右下に見える「亀石」を、祈りを込めてなでると願い事が叶うといわれています。「亀石」の右側に見える社には野宮大黒天(良縁結婚)が祀ってあります。

古代・中世において天皇が即位するごとに、天照大神(あまてらすおおみかみ)の杖代わりとなって奉仕する者(御杖代(みつえしろ))として未婚の皇女が伊勢神宮に斎宮(さいぐう)として派遣されました。

斎宮は未婚の皇女の中から占いで定められ、平安朝期では宮内(くない)の便宜的な場所を初斎院(しょさいいん)として、一年間、ここに入って身を清めました。その後に、宮城(きゅうじょう)外に新造された精進潔斎(けっさい)の場所に入って更に1年の潔斎が行われたのでした。

この宮城外に設けられた精進潔斎の場所が野宮(ののみや)と呼ばれました。野宮は斎宮ごとに宮城外の浄野を吉凶を占って定められ、場所は一定していませんでした。斎宮が伊勢神宮に赴任していくと野宮は取り壊されました。

野宮は、多くは洛西(らくさい)に設けられたようです。洛西の中でも嵯峨には、野宮の跡と伝承される場所が斎宮神社や斎明(さいめい)神社など複数あり、野宮神社もその一つなのです。

嵯峨天皇の代からは現在の野宮神社に野宮が作られるようになったといいます。そして野宮神社は、ある時期の野宮の跡とされ、神社の名はこの野宮に由来すると伝えられています。

長年に亘って受け継がれてきたこの斎王制度は14世紀後半における南北朝の争乱の中、廃絶してしまいました。

『源氏物語』「賢木」

じゅうたん苔
じゅうたん苔
本殿の前を右手奥に入っていくと、庭一面に絨毯を敷き詰めたように美しく生えた苔が目に入って来ます。洛西随一とされるじゅうたん苔です。
写真左手奥に見える社は大山弁財天(交通安全、財運向上)です。

野宮は、『源氏物語』第10帖「賢木(さかき)」の巻に登場します。

斎宮となった六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の娘(後の秋好中宮(あきこのむちゅうぐう))が一年間、野宮で潔斎生活を送り、いよいよ伊勢に下向するという直前の秋深まる頃、光源氏が、源氏の愛情に見切りをつけて伊勢下向を決意した六条御息所を野宮に訪ね、別れを惜しむという場面です。

その中で、

「・・・

ものはかなげなる小柴垣(こしばがき)を大垣(おおがき)にて、板屋(いたや)ども、あたりあたりいとかりそめなり。黒木(くろき)の鳥居ども、さすがに神々しう見わたされて、・・・」

(小柴で作った簡素な低い垣を外回りの垣にして、(野宮は天皇一代ごとに造営されなおすことから、建物といってもほとんど仮の建造であるために)板で屋根を葺いただけといった一時しのぎの簡素な家がそこかしこに立ち並んでいる。黒木の鳥居が、それでもさすがに神々しくながめわたされて、・・・)

(『源氏物語』「賢木」)

と、「小柴垣」と「黒木の鳥居」が登場します。現在の野宮神社にある「小柴垣」と「黒木の鳥居」はそれを再現したものです。

黒木というのは樹皮のついたままの丸太のことを指すことから、「黒木の鳥居」というのは、樹皮のついたままの丸太で組まれた鳥居のことを指します。野宮神社のこの黒木の鳥居は、用材に樹皮のついたクヌギを用い、その丸太を組み合わせた鳥居となっていて、鳥居の形式としては極めて原始的で日本最古のものといいます。

今日、野宮神社は、進学祈願や縁結びをはじめとした崇敬を集め、多くの参拝者で賑わっています。

写真集写真集(9枚の写真が表示されます。)
写真 
野宮神社入口(左手)
この小柴垣の奥が野宮神社です。写真右端に見えるのは黒木の鳥居です。
野宮神社の前の道を紅い矢印のある方(写真右側)へ行くと、JR山陰線の踏切を超え、竹林を通って常寂光寺(じょうじゃっこうじ)や落柿舎(らくししゃ)など、数多くの歴史ある寺社や史跡のある嵯峨野へと入って行きます。
案内板の下には「野宮(嵯峨野めぐり起点)」の文字が見えます。
≪関連情報≫
項目 内容
所在地 京都市右京区嵯峨野宮町1
祭神 野宮大神(天照皇大神)
主な祭事 斎宮行列(10月第3日曜)
嵐山花灯路(12月・・・午後8時までライトアップ)

【近隣観光マップ】※図の操作については下記をご参照ください。

【マップ掲載番号の説明】

図中の右上に表示されている「地図」をクリックして、その下に表示される「航空写真」をクリックし、図を拡大表示する(下記「マップの操作について」参照)とよりはっきりと見ることができます。
  1. 渡月橋(※1)
  2. 天龍寺
  3. 天龍寺総門
  4. ここから野宮神社・嵯峨野・竹林の道
  5. 野宮神社
  6. 天龍寺北門
  7. 竹林の道
  8. 嵐山公園と竹林の道との出入口
  9. 嵐山公園亀山地区展望台(※2)
  10. 落柿舎
※1.−(マイナスボタン)を1回クリックすると下に表示されます。
※2.−(マイナスボタン)を1回クリックすると左に表示されます。

図の操作について

  • 図の上でマウスを任意の方向に動かす(ドラッグする)と表示範囲が変わります。
  • 図の左にある+(プラス)ボタンをクリックする毎に図が拡大され、−(マイナス)ボタンをクリックする毎に図が縮小されます。
  • 図の右上にある[地図]のボタンをクリックすると地図タイプを切り替えることができます。
  • 非表示にした吹き出しを再度表示するには、赤いアイコンをクリックして下さい。
  • 最初の状態に戻すには、キーボードのF5キーを押下してください。

近隣の観光スポット情報

上記の【近隣観光マップ】をご参照ください。

posted by はんなり・ジャーニー at 08:13 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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