
参道
嵯峨野の西北に位置する嵯峨鳥居本(とりいもと)。そして更にその西北の奥まった所、奥嵯峨に化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)があります。
その化野念仏寺の脇を北西から南東にかけて沿って走る嵯峨鳥居本地区は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているところで、豊かな緑につつまれた中に古い家並みの民家が建ち並び、往時の歴史的景観を形成しています。
あだし野
平安時代以来、都の西に位置した広大な墓地であったというあだし野。
京の都の東の鳥辺野(とりべの)、北の蓮台野(れんだいの)と並ぶ、風葬の地であったことで知られています。
その事もあって、あだし野は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての歌僧、西行(さいぎょう)の歌に見られるように和歌では「あだし野の露」として人生の無常をあらわす枕詞(まくらことば)に使われ、また、『徒然草』第七段では「あだし野の露消ゆるときなく」と題して、
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あだし野の露消ゆるときなく、鳥部山の煙立ち去らでのみ、住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそ、いみじけれ。
(あだし野の露が消えるように人の命ははかなく、また、鳥部山(清水寺の近くにあった火葬場)に立ち上る火葬の煙は消え去ることもない。人が永久にこの世に住み通せるものであるならば、どんなにか物のしみじみとした深い味わい(趣)といったものはないだろう。人の命がいつ果てるかわからないように、世の中は決まっていない(無常)からこそ素晴らしいのだ。)
という記述も見られます。
古語「あだし(徒し)」には「はかない、悲しみ」という意味があります。元々は「あだしなる野辺」といっていたものが「あだしの(化野。徒(し)野、仇(し)野とも書く。)」の地名になったといいます。
今日、「京都市右京区嵯峨鳥居本化野町(あだしのちょう)」に町名としてその名が残っています。
縁起
平安時代草創期の大同(だいどう)元年(806)10月、空海(くうかい)が唐から帰国。無名の一留学僧として唐に渡りましたが、「虚しく往きて実ちて帰る」という空海の言葉に表されるように、空海は大きな成果を持ち帰ります。
その4年後から始まる弘仁(こうにん)年間(810〜824)。
この期間は、空海にとっては、乙訓寺(おとくにでら)の別当(べっとう)就任、天台宗の開祖・最澄(さいちょう)との蜜月そして決別、高野山の開創・伽藍建立着手、満濃池(まんのういけ)(香川県にある日本最大の農業用ため池)の改修、東寺の下賜などをはじめとして、起伏に富み、多忙を極めながらも充実した時期にあたっています。
化野念仏寺は空海によってそのような弘仁年間に創始されたものといいます。
当時、あだし野の地で野ざらしになっていた遺骸を見た空海はこれを集めて埋葬します。この時、空海は、小倉山(おぐらやま)寄りを金剛界(こんごうかい)、五山の送り火の一つで「鳥居形」が見られる曼荼羅山(まんだらやま)寄りを胎蔵界(たいぞうかい)と見立て、千体の石仏を埋め、両山の中間を流れる曼荼羅川の河原に五智如来(ごちにょらい)の石仏を立て、一宇を建立したのでした。
この一宇は五智山如来寺(真言宗)と称されました。これが化野念仏寺の始まりといわれています。
時代も改まった鎌倉時代初期、法然(ほうねん)が中興して念仏を広め念仏道場とします。これを機に、念仏寺(浄土宗)と呼ばれるようになったと伝えられています。
写真集(24枚の写真が表示されます。)
爽やかな新緑に覆われ静けさ漂う石段の参道。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名 | 華西山東漸院(かさいざんとうぜんいん)念仏寺 |
| 所在地 | 京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17 |
| 山号 | 華西山 |
| 宗派 | 浄土宗 |
| 本尊 | 阿弥陀如来 |
| 創建年 | 弘仁年間(810〜824) |
| 開基 | 伝・空海 |
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- ※
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- 参道
- 二尊仏
- 山門
- 石の阿弥陀三尊
- 虫塚
- 仏舎利塔
- 鳥居(トラナ)
- 西院の河原
- 地蔵堂
- 本堂
- 水子地蔵
- 竹の小径
- 角倉素庵の墓
- 六面体地蔵
- 町並み保全地区
- 嵐山高雄パークウェイ
- 清滝街道(※1)
- 一の鳥居(嵯峨鳥居本)(※1)
- 愛宕(あたご)街道(※2)
- 八体地蔵(※2)
- 「重要伝統的建造物群保全地区」案内板(※2)
- 愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)(※3)
- 愛宕山(あたごやま/あたごさん)・愛宕(あたご)神社(※4)
- 曼荼羅山(※2)
- 小倉山(※3)
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近隣の観光スポット情報
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