
山門と白砂壇-法然院-
ひなびた趣をもつ、茅葺(かやぶき)で数奇屋(すきや)造りの山門をくぐると参道の両側に白砂壇(びゃくさだん)と呼ばれる白い盛り砂が目に飛び込んできます。この砂壇は水を表しており、両側の砂壇の間を通ることは心身を清めて浄域に入ることを意味しています。
砂壇上には様々な紋様が描かれます。水を表象するものが基本とされていますが、四季に応じて流水上を浮かんで流れる楓(かえで)の落ち葉が描かれるなど、自由な創意工夫がなされていて、訪れる度に、今回は何が描かれているかな、と思いをはせるのも楽しみです。
災難続き
参道の両脇に配された白砂壇(山門の階段より望む)
砂壇上に描かれた楓(かえで)の紋様
〜秋〜
-法然院-
平安時代の末、法然は京都東山(京都の中心部から見て東に見える山々)の一つ、大文字山の西南、鹿ケ谷(ししがたに)に、弟子たちと念仏三昧の別行(特に期間を定め余念なく修行をすること)を修する道場の草庵を結んでいました。
鎌倉時代に入って元久元年(1204)10月、比叡山の衆徒が当時の天台座主(延暦寺の住職)に対して、そして翌年の9月には興福寺の僧徒らが朝廷に対して、法然上人らの専修念仏の停止を訴える訴えを起こしました。
この時は、法然による門弟の破門に加え、訴えた側も共同歩調がとれていないことなどから、事態は収拾するかのように思われました。
ところが建永元年(1206)、後鳥羽上皇が熊野御幸に出かけた留守中に、その女房、松虫と鈴虫が、従前から念仏法会に参加し『六時礼讃』の美声に魅了されていた法然の弟子の安楽と住蓮を慕ってそのまま出家してしまいました。熊野御幸から戻り事情を知った後鳥羽上皇は激怒し、法然は讃岐国(現在の香川県)へ配流となり、安楽は京都鴨川の六条河原で、住蓮は郷里近くの近江国の馬淵畷(現在の滋賀県近江八幡市)でそれぞれ斬首の刑に処せられてしまいました(「建永の法難」と呼ばれます)。
復興
講堂-法然院-
その後この草庵は荒廃してしまいますが、江戸時代に入り、浄土宗総本山知恩院三十八世萬無(ばんぶ)和尚が、徳川四代将軍家綱に願い出て善気山麓に境内地二千坪を拝領し、弟子忍澂(にんちょう)に命じて工事に着手させ、延宝9年(1681)5月に客殿造りの本堂をはじめとする諸堂が完成するにおよんで脚光を浴びることになりました。ここにおいて萬無和尚を中興第一世として、新築なった寺院は「善気山法然院萬無教寺(ぜんきさんほうねんいんばんぶきょうじ)」(法然院の正式名)と称されることとなりました。
著名人の墓所
参道左手にある本堂-法然院-
ここには谷崎潤一郎の墓があります。「寂」と「空」の自筆の文字が刻まれている二墓の自然石が並んでいます。「寂」と刻んである方が谷崎夫婦の墓で、「空」と刻んである方は谷崎潤一郎の妻・松子の妹とその家族の墓です。生前谷崎潤一郎は、関東大震災のあおりを受けて関西に移住してきました。それから毎年春になると平安神宮神苑にある八重紅枝垂桜(やえべにしだれざくら)を見に花見に出かけました。彼の代表的小説「細雪」にも『まことにここの花を措(お)いて京洛の春を代表するものはない』と書くほど八重紅枝垂桜が気に入っていたようです。墓石の脇には、その八重紅枝垂桜が植えてあります。他にも、経済学者の川上肇、哲学者の九鬼周造といった著名な学者や文人の墓が数多くあります。
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山門-法然院-
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名 | 善気山法然院萬無教寺 |
| 所在地 | 京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町30 |
| 山号 | 善気山 |
| 宗派 | 浄土宗系単立 |
| 本尊 | 阿弥陀如来 |
| 創建年 | 鎌倉時代初期 |
| 開基 | 法然 |
| 文化財 |
|
【境内概観図】※図の操作については下記をご参照ください。
【マップ掲載番号の説明】
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- 山門
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近隣の観光スポット情報
上記【境内概観図】の中の左上に表示されているマイナス(−)ボタンを3回クリックすると、500〜600m北の方角(地図の上方)に銀閣寺、300m程南の方角には安楽寺があることが分かります。


