
大覚寺と大沢池
写真に見えているのは、大覚寺の五大堂(写真左)と心経宝塔(写真右)です。そして心経宝塔の少し左手には護摩堂が見えています。
日本最古、人工の林泉
大沢池(おおさわのいけ)は、平安時代の極めて早い時期に嵯峨天皇の離宮として造営された、大覚寺(だいかくじ)の前身である「嵯峨院」の苑池(えんち)の一部で、日本最古の人工の林泉(林や泉水などのある庭園)の一つとされ、国の名勝に指定されています。現在は大覚寺(だいかくじ)境内に属し、五大堂の東に広がっています。周囲は1キロメートルほどで、散策できるようになっています。
大沢池は、中国の洞庭湖(どうていこ)になぞらえて「庭湖(ていこ)」とも称され、作庭当時は泉・滝・名石等の美を極めた池泉舟遊式(ちせんせんゆうしき)庭園であったといいます。今なお池中には、菊ケ島・天神島の二島と、巨勢金岡(こせのかなおか)が配置したとされる庭湖石(ていこせき)があります。巨勢金岡は、平安時代前期の宮廷画家で、菅原道真(すがわらのみちざね)らとも交友があり、また神泉苑の監を勤めて神泉苑の石組みを行ったことでも知られています。
池の畔には嵯峨天皇と空海にゆかりの深い茶室望雲亭(ぼううんてい)のほか、五社明神(ごしゃみょうじん)、心経宝塔(しんぎょうほうとう)、石仏、名古曽滝(なこそのたき)跡などがあります。
大沢池は、古くより広沢池(ひろさわのいけ)とともに観月の名所としても知られ、秋の観月には訪れる人も後を絶たないといいます。大沢池の畔には桜樹やカエデが多く、春には花の名所として知られ、秋には池の周囲が紅葉で美しく彩られます。

心経宝塔
宝塔の前には2本の大王松が並んで大地にしっかりと根を下ろしています。
名古曽滝
大沢池の北側はかつて嵯峨院の建物があった場所(大覚寺掲載の江戸時代に描かれた古絵図「大覚寺伽藍図」参照)で、大沢池の北約50メートルの所に、嵯峨院に設けられていた滝殿(たきどの)の石組み跡である「名古曽滝(なこそのたき)」があります。
平安時代中期、当時権勢を誇り、平等院を創建した藤原頼通(ふじわらのよりみち)の父で、「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることのなしと思へば」と、宴席で酔いにまかせて歌ったことで知られる藤原道長(ふじわらのみちなが)の側近であり、藤原道長主催の歌合や遊興にはよく出席し和歌を披露したという藤原公任(ふじわらのきんとう)。その藤原公任が、長保(ちょうほ)元年(999)9月12日、藤原道長につき従って大覚寺・滝殿・棲霞観(せいかかん)(『源氏物語』の光源氏の実在のモデルとされる人で、嵯峨天皇の皇子左大臣源融(みなもとのとおる)が建てた山荘。現在の清凉寺(せいりょうじ)の地。)などへと秋の嵯峨遊覧のおりの歌合の中で、滝殿の滝がなくなったのを惜しんで、
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滝の音(ね)の絶へて久しく成りぬれど
名こそ流れて猶(な)ほ聞こえけれ
(滝の音は絶えて久しくなったけれども、名だけが流れてまだ聞こえている)
と詠んだことは知られています。
藤原道長が大堰川(おおいがわ。渡月橋辺りを流れる桂川の別称。)に漢詩、和歌、管絃の三舟を浮かべて、その得意とするところによって人々を乗船させたとき、藤原道長をして、藤原公任はどの舟に乗るのだろうかと言わしめるほどの才があったという「三舟の才(さんしゅうのさい)」の逸話として伝えられています。藤原公任は、漢詩、和歌、管絃のどれをとっても当代随一の才を持っていたというほどの多才博識で知られた人で、同時代に生きた清少納言(せいしょうなごん)や紫式部(むらさきしきぶ)もその才に畏怖したほどであったといいます。
大沢池と名古曽滝は、平安時代後期の平等院庭園よりもずっと早い時期に造られた平安時代初期の庭園を偲ばせる貴重な遺構として今日に受け継がれています。
写真集(26枚の写真が表示されます。)
大沢池の池畔をめぐる小道の脇に立ち、名古曽滝跡とともに名勝に指定されていることを伝えています。
【境内概観図】※図の操作については下記をご参照ください。
【図中番号の説明】
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- 大覚寺門前交差点(※1)
- 大覚寺入口
- 大覚寺
- 大沢池入口
- 有栖川
- 望雲亭
- 津崎村岡碑(直指庵参照)
- 五大堂
- 観月台
- 五社明神
- 放生池
- 護摩堂(佛母心院跡)
- 石仏群
- 天神島
- 嵯峨天皇歌碑
- 菊ケ島
- 庭湖石
- 茶筅塚(ちゃせんづか)
- 嵯峨碑
- 閼伽井
- 大日堂
- 聖天堂
- 心経宝塔
- 嵯峨の梅林
- 紀友則歌碑
- 嵯峨の竹林
- 名古曽滝跡
- 臼井喜之助詩碑
- 鈴鹿野風呂句碑
- 平田春一・島田保子歌碑
- 広沢池(※1)
- 直指庵(※1)
図の操作について
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近隣の観光スポット情報
上記の【境内概観図】をご参照ください。


